幅広い教育『涌井システム』~大人や高齢者に向けても~

主幹 / 涌井 純子

祖父母の代から、音楽的に恵まれた環境で育ったと思います。

富士銀行に勤めていた父は、音楽・文学・美術に造詣が深く、母は、私の育児と共に、いつもピアノに向かい曲を書いていました。10歳上のチェンバロ奏者の姉は、朝から晩まで練習の毎日、ピアノ、チェンバロの音が響き渡る家でした。

私が3歳の頃、母がいきなり私に色々と聞いて来ました。「おんぷを絵にしたいの」と聞いた私は、「ドはどんぐり!レはレモン!」・・・日本で初めての「絵おんぷ」の誕生でした。現在似たような絵で表示された音符が出回っておりますが、これこそ日本で最初の『絵おんぷ』の始まりだったのです。音程の感覚、覚え方、調の判定(楽譜に書かれた音を楽器のみに頼らずに実際の音として感得する方法)、リズムの曲のタイトル付け等々、幼い私が実験台となり、幼児の心を反映させ次々とシステムができていきました。

音楽家からすれば、幼い子供に師として音楽教育を施すことは、分別のつきはじめる小学生以上ならまだしも一番大変な苦労を伴い、責任ある、それでいてプロになって成功されてもプロフィールにも書かれないという損な役回りと思われる傾向もございます。

中学生頃、私は、「何故、ママはそんな大変な思いをして子供を教えるの?」と母に尋ねました。その時母に「人の嫌がる仕事こそ、やりがいがあるの!」と言われたのを今でも強く覚えております。

夜は曲を書き、昼は幼児から大人までの生徒さんを教えている母。 高校、大学、研究科に進むにつれ、私は、バッハやフォーレ、ラベルとフランス音楽、そして近代イギリス音楽に傾倒し、時間さえあればハープに向かっておりました。

その頃、戦後初めての幼児音楽教育から音大受験までのシステムとして、「涌井システム」がTVなどで度々紹介されるようになっていました。大人になった私の目にも、さまざまな魔法が発見できました。

全く音楽の適正が無いと思っていた生徒さん達が、見る見るうちに、上達し、喜喜とレッスンに通われる姿や、プロとなり数々のコンクールに入賞した生徒さんが「ワクイシステムのお蔭で絶対音が身につき、幼い頃から音楽が嫌と思ったことは一度も無い」等とおっしゃるのを耳にし、はっきりした成果に「本物」を確信いたした次第です。

幼児音楽教育の素晴らしさを世に訴えた母の仕事。これを私は幼児教育だけに止めず、大人や高齢者に向けても効果的に使えないかと考え始めました。

大人になってから、ハープ・ピアノを習いたい、しかしそれらの読譜が出来ない方、音楽の基礎が解らない方に、十年前から、元は幼児音楽教育として使っていた涌井システムを導入したところ、生徒さんは童心に帰り、楽しく覚え、ハープのレッスン時に必要な読譜をはじめ、楽典がスムーズに頭に入り、無理なく楽しく出来ることには驚いています。

まさにこれは、画期的なシステムであると自負致しております。読譜の出来る方にももちろん、しっかりとした基礎から学び、一生の趣味として楽しんで頂いたり、才能を開花させることも夢ではありません。また、障害者の方へレッスンにおいても、その効果が認められております。

今私は、「小さい時、音楽の授業は苦手だったのに・・・」と驚きながらレッスンに励む生徒皆様から、逆に、「全てが可能なのだ」と教えられております。そして、生徒さんの信じられない「向上」というエネルギーを頂きながら、音楽活動をしております。

音楽に興味を持たれ、音楽の素晴らしい世界への一歩を踏み出すのにためらっていらっしゃる方、本物の手ほどきを学びたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、是非一度ご連絡くださいませ。責任もって、ご指導いたします。

皆様のお越しを心よりお待ち致しております。